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UFC 181: Hendricks vs. Lawler II

UFC/Mixed Martial Arts

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大人になったジョニー・ヘンドリックスは、何を得て、何を失ったのだろう。

 
2013年11月16日、UFC167でジョニー・ヘンドリックスは最強王者GSPに挑戦した。左フックでKO勝利の山を築き上げてきたジョニヘンは、間違いなくウェルター級タイトルにもっとも近い男であり、実際、試合ではGSPを圧倒していたように見えた。

しかし判定は王者防衛。判定勝利を信じて5Rを流したジョニヘンは、そのちょっとした油断によって勝利を逃してしまう。その時、最後まで攻めることこそ勝利と学んだはずだった。

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2014年3月15日、UFC171。GSPの休養宣言によって空位になったウェルター級の王者決定戦は、そのジョニヘンと、一度UFCをリリースされながらも復帰後勝利を重ねてきたロビー・ローラーとの一戦になった。お互いが譲らない火の出るような打撃戦は、どちらが勝ってもおかしくはない接戦となり判定決着へ。そしてジョニヘンが勝利した。判定は1ポイント差。この日のジョニヘンは最後まで攻め続けた。5Rのポイントを獲ったことが勝利につながった。

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そして、ジョニヘンの初防衛戦の対戦相手として再びロビー・ローラーが戻って来た。接戦のタイトルマッチは即リマッチが組まれることが多いが、ローラーは半年の間にエレンバーガー、マット・ブラウンという難敵を下して実力で挑戦権を再度獲得したのだ。

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「タイトルを獲るためにはKOしかない」

試合前のインタビューでローラーは言った。その言葉通り、試合はローラーの猛攻から始まった。しかしフィジカルとテイクダウン能力に勝るジョニヘンはタックルでローラーを金網に釘付けにする。タックルを受けるとすぐに金網際まで下がりダブルレッグのジョニヘンのあたまを下げるローラー。この攻防は最後まで見られることになるが、この試合の大きなポイントだったような気がする。

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ローラーの猛攻を凌ぐと、左右のパンチからのローというコンビネーション、タックルで試合の流れをつかむジョニヘン。戦況によって幅広い攻め手の中からローリスクな手段を選ぶ。突進力と爆発力でウェルター級タイトル戦まで昇ってきたジョニヘンとは明らかに異なる、スマートな闘い方。大人になったジョニヘンだ。

しかし、4R終了間際にはテイクダウンに固執するあまり、ローラーの足にしがみつき打撃を受け続ける形になる。ダメージの有無はともかくとして、戦略的にはプラスとは言いがたい。

そして最終ラウンド。ローラーは言葉通り前に出る。勝つためにはKOしかないのだ。ジョニヘンは最終ラウンドもタックルでテイクダウンを狙う。動きのない展開にブレイクがかかるが、ジョニヘンは判定勝ちできるという戦略なのか、再びシングルレッグへ。しかし4Rの再現か、再び足にしがみついたままのジョニヘンにローラーが打撃の嵐。それをいやがりスタンドに戻るジョニヘンに対し、怒りの表情で拳を振るい、蹴りを出すローラー!攻める!攻める!攻める!

ここで試合終了のブザー。疲れた表情のジョニヘンに対して、怒りで肩を震わせジョニヘンを睨み続けるローラー。試合の決着は判定に持ち込まれた。

ジャッジ、2-1でNEW CHAMPIONのコール!ウェルター級新王者誕生!ローラーが接戦を制してリベンジ成功!

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洗練された打撃、そして勝つための戦略。間違いなく、ジョニヘンは大人になっていた。しかし、もっとも大切な闘う心を失ってしまっていたのではないだろうか。ULTIMATE FIGHTING CHAMPIONSHIP、UFCは競技ではなく、FIGHTだ。ジョニヘンはGSP戦で学んだことを忘れてしまったのか、それともローラーの存在が忘れさせてしまったのか。

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「一歩も引かずに闘う必用があると感じていたし俺の陣営もそうする様に言ってきた。飛び出していってフィニッシュを狙ったんだ。それが俺たちがUFCで闘う闘い方だ。チャンピオンシップはそうやって闘うべきなんだ。」

試合前の言葉、そして試合後のジョニヘンに向けた怒り。ローラーはジョニヘンが失ったものを、逆に一番大切にしていた。

一般会員から格闘技をはじめ、一度UFCをリリースされながらも混戦のウェルター級で世界王者に昇りつめたローラー。破った相手はオールアメリカンにもなった生粋のアスリートだ。

こんなドラマが現実にある。だからMMAは面白い。