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パクリ騒動(世の中に氾濫するパクリ)

世間話

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オリンピックエンブレムからはじまった佐野研二郎氏のパクリ騒動。

 
いまや連日ニュースやワイドショーでも報道され、「アートディレクター(AD)」という言葉がここまで注目されたことはないのではないだろうか(残念ながら今回は悪い意味で)。

と同時に、モラルなきデザインがはびこるデザイン業界は信用を失った感がある。佐野研二郎氏とは面識はないのだけれど、デザインを生業としているものとしてこの騒動に関して思うことはたくさんある。

今の状況としては、佐野研二郎氏の作品に対するピンポイント攻撃になっている。でも問題の本質はそれだけではないと思う。

ぼくはデザイン事務所に属したことがないので詳しくはわからないけど、多くのADやデザイナーがパクリ・模倣・無断使用をやっている可能性は少なからずあるように感じる。名のあるADならアシスタントデザイナーがいるのは当たり前で、そのアシスタントデザイナーがネットから無許可で画像を使ったり有名アーティストの作風を真似する。もしかしたら、本人たちに罪悪感はないのかもしれない。

「みんなやってるじゃん。」

でもそれはデザイン業界に限らず、洋服業界だって音楽業界だって同じようなもの。オールデン型ローファーやトム・ブラウン風B.Dシャツなんて山ほどオリジナルと称して販売されているし、どこかで聞いたような曲が日本語になっていることもあった。クリエイションだけではなく、ビジネスモデルだって他社をもろパクリしているところがあるはず。要はカテゴリーを超えて、パクリなんて世の中に氾濫している。

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もちろん、シンプルな作品なら偶然似通ってしまうことだってあるだろう。ただ、オリジナルをリスペクトせずにただ物真似したりコピペしたりしているものは、仕事に対する誇りがない人たちが、金儲けの手段としてやっているだけなのだと思う。志(こころざし)のない安易な仕事。

今回のパクリ騒動も、一連の内容を見ると仕事に対する真摯な気持ちは感じられず(いわゆる「やっつけ仕事感」)、業界内癒着的な環境も含めて、結果的に信用されなくなってしまったことは仕方がないのだろう。

個人的には、信用を失ってしまったデザイン業界は、JAGDA(日本グラフィックデザイナー協会/日本で唯一のグラフィックデザイナーの全国組織。ぼくも以前所属していた)なり、デザイン専門誌なりがこの問題に真っ正面から取り組むべきだと思う。「パクリ撲滅キャンペーン」くらい展開して欲しい。それくらいしないと業界内意識改革は進まないだろうし、デザインへの信用も回復しない。業界内の賞にしても専門誌にしても、佐野氏をこれまで散々持ち上げて、問題が起きたら知らん顔というのはどうかと思う(と書きつつ、やらないと思う。臭いモノには蓋、君子危うきに近寄らず)。

ただ、自分も含めて、この騒動は仕事のスタンスを見つめ直すよい機会であることは確か。ぼくもデザインをする際にモチーフや参考にするものは当然ある。それをどう自分の中で消化して新たな形としてアウトプットするのか。その過程や落としどころでより慎重な作業と気遣いをする必要があり、そのためにはなによりもクライアント様やエンドユーザー様に対して真摯な姿勢を持つことを忘れてはいけない。その気持ちがあれば安易なパクリなどしないはず。