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続「シン・ゴジラ」の話(ネタバレあり)


シン・ゴジラの感想は以前ブログに書いたけど、宇野常寛さんの評論が面白かったので刺激されて追記。


 
宇野さんはシン・ゴジラを「平成ガメラシリーズ」のアップデート版であり、「パトレイバー The Movie」の影響を受けているとしている。たしかに序盤に重要人物が姿を消してしまうのはパト1のシチュエーションと同じだし、東京を舞台にした一種のテロ(災害)によるシミュレーションはパト2の系譜である。物語の骨子やディティールに大きな影響を感じる。



子供たちの味方になってしまった怪獣を、怪獣映画としての原点に立ち返り「意思の通じない生物」として描いた平成ガメラシリーズは、大人の鑑賞にも耐える新鮮な切り口だった。しかし二作目終盤と三作目でその価値観をブラしてしまう。このあたりは宇野さんが文中で書かれていることとまったく同意見で、シン・ゴジラでは最後まで一貫した価値観だったことで怪獣の恐ろしさが復活した。


またゴジラの東京進行を自衛隊が阻止するくだりは、ガメラ2でのレギオン防衛を彷彿させる。表現方法としてはグレードが上がっているものの、既視感を感じた。

「これ、どこかで見たシーン」。

上記のようにシン・ゴジラでは既視感が多かった。しかし、それをパクリとは思わない。とても高度で緻密なサンプリングであり(庵野監督自身のエヴァンゲリオン含めて)、1954年のオリジナルゴジラDAICON FILM平成ガメラシリーズ、パトレイバー The Movieと日本のオタククリエイターの中で脈々と受け継がれている伝統や伝説的作品の集大成であり、そこに現実問題としての大震災、原発、安保条約、憲法問題をさらに加えるという編集能力の高さ!

結果的に表現力の高さ(サンプリング能力)と物語性(編集能力)で受け皿をオタク層から一般層まで広げ、かなり風変わりな作風であるにもかかわらず多くの人たちからの高い評価につながっている。

映画を観終わって思ったことは「庵野監督、やればできるじゃないか!」(過去の庵野実写作品を観ていて、実はちょっと不安だった)

そして「現実はぼくらの力の及ばないところでいろいろなことが起きるけど、それに合わせて精一杯努力して生きるしかないよね」という、現代に生きる人たちへのメッセージが活きる。

ゴジラ原発、世界情勢、政治。生きるということはそうした問題と共存しながら自分で答を見つけるしかない。あの鬱々とした内面性を描いたエヴァンゲリオンの作者がそうしたポジティブなメッセージを描くところに時代性を感じる。それだけ現代は大きな問題をいくつも抱えているのだ。

シン・ゴジラ面白かったなー」という方は是非「パトレイバー The Movie」の1と2、平成ガメラ「レギオン襲来」を観てみてください。