ダッフルコートの思い出

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ぼくがUAに入社したのは1993年。創業から4年目で、BEAMSから来た先輩が多かった。先輩のうち何人かが、冬になると赤いダッフルコートを颯爽と着こなしていた。

 
厚手でヘリンボーン織の見るからに上質な生地のダッフルコートは「INVERTERE」というブランドで、当時探すも入手出来ず。仕方なくGRENFELLの赤いダッフルコートを買ったが、見た目は似ていても生地の厚さやしなやかさが異なる別物だった。

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その後、比翼ボタンのINVERTEREダッフルをようやく購入。肉厚ながらしなやかな生地は素晴らしかったが、やっぱりダッフルコートはトグルがいいよね。

やがてINVERTEREは市場から姿を消したが(そもそもダッフルコート需要がない時代が数年続いた)、数年前にBYで復活したダッフルを見かけ、気になっていた。

何年か心の片隅にあったのだが「一生モノは早く買えば長く使える」がモットー。先日意を決して某店で購入した。色は赤ではなく、オレンジ。

落ち着いたオレンジは赤よりも街に溶け込むような気がする。見頃と袖は少し細身になっているけど、上質さは変わらない。もう一生ダッフルコートは買わなくて済みそう。

【INVERTERE】

1904年、Harold Parkin氏とその兄弟によってコート作りをスタートし、 イギリス・ニュートンアボット(NEWTON ABBOT)の中心部で創業した老舗コートブランド。

彼らは世界で初めてリバーシブルコートを開発し、富裕層に向けて販売。1900年当時リバーシブルコートは非常に革新的な技術で、 その生産の技術特許を幾つも保有し、今尚The Invertere Buildingsに保管している。「INVERTERE」はラテン語で「ぐるりと向きを変える」を意味し、 リバーシブルコートを表している。

第二次世界大戦後に世界へ輸出をすべく商品の種類を広げていき、代表的モデルのダッフルコートをはじめとした様々なコートを開発し、高い品質とクラシックなスタイリングで世界中で知名度を築いて行った。1980年代頃より市場で見かけなくなっていたが、2013年の秋冬に復刻。 現代のフィッティングを重視したモデルを展開している。

INVERTEREの代表的なモデル「NEWTON ABBOT」に使われる素材は、今はなきMoorbrook社が当時のエルメスやオールドイングランドに供給していたヘリンボーン生地で、織り上げる織機は世界に4台しか現存していない。

不況により倒産したMoorbrook社だが、イギリスの名門生地メーカーであるJoshua Ellis社が3台の織機を確保。当時と同じクオリティの生地を再び織り上げることが可能となった。

旧式の織機は時間がかかり生産効率が悪い。しかし、時間をかけて織られることで生地の密度が高くなり、剛性感のあるコシが生まれる。またヘリンボーン柄の畝が深く刻まれ、見た目に美しいだけでなく、厚みがあって保温性に優れている。