アンチ・ファッション(Ultra-Trail Australia 100)

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オーストラリアの国立公園にして世界遺産のブルーマウンテンズを舞台としたトレイルランニング大会「Ultra-Trail Australia(UTA)」。昨年の50kに続き、今年は100kに参加してきた。ぼくにとっては3年半ぶりの100k超のトレイルレース挑戦(その時はDNF)。

昨年の50kの記事。

mma-trailrun.blog.houyhnhnm.jp

 

 
UTAはシドニーから電車で約2時間、ブルーマウンテンズ国立公園に隣接するカトゥーンバをスタートし、前半は南西方向、後半は南東方向のトレイルを8の字に進むループコースのロングトレイルレース。

100kは約1200人が参加し、渋滞を避けるたけにウェーブスタートとなっている。ぼくは遅いので最後の第7ウェーブスタート指定で、なんと最初のスタートから1時間半後! でも、制限時間が約28時間と長いので、関門に追われず進むことができる(それはそれで大変なことを実感する羽目になるのだが)。

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UTAは100kのトレイルレースだが、参加資格を必要としない。そのため「アスリート」ばかりではなく、「一年に一度の地元の祭りだから挑戦してみよう」的な参加者も少なくない。逆に考えれば、そうした挑戦者たちを完走しやすくするための長めの制限時間なのかもしれない。

とはいえ、100kというと東京日本橋を起点として、静岡県の伊東、沼津、山梨県甲府群馬県の前橋、宇都宮、茨城県の水戸、千葉県の房総半島までの距離。それがトレイルと考えると、なかなかハードな挑戦だ。

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ぼくはほぼ最後尾からスタート。長い道中では、年配の方、体格のいい方、スポーツ美女、励ましあいながら進む友人同士、恋人(ご夫婦?)など、多くの挑戦者たちを見ながら進んだ。スタートする際のワクワクした表情、景色を楽しむ笑顔、苦しみながら前進する姿勢は、性別、年齢、国籍、体格など関係なく、みんなが輝いて見えた。

そんな姿を見て、ぼくは以前から感じていたことをあらためて思っていた。ぼくは長らくファッションの業界で働いていたけど、今の時代は「ファッションだけ」というのは逆にかっこ悪い。外見だけ着飾っても、中身が伴わなければ。

前述した通り、100kに挑戦する人たちはみんな本当にかっこよかった。だからといってみなさんに100kに挑戦して欲しいとは思っているわけではないし、挑戦する対象がスポーツである必要もない。仕事でも、子育てでも、文化的活動でも、一生懸命に何かに挑戦している気持ちがご本人に備わってこそ、ファッションやデザインが活きるように思う。

主役はあくまでも人であり、ファッションやデザインは引き立てる存在。それが逆転したら、陳腐なだけ。



話をトレイルレースに戻そう。

100kという距離に加え、昼間は25度を超える暑さと陽射し、夜は0度近くになる寒さというコンディションが難しいUTA。特に遅いランナーにとっては行動時間が長くなるからなおさら。経験値と気持ちが問われるレースとなった。

いろいろなトラブルもあったけど、ぼくは約26時間かけてフィニッシュ。5年ぶりの100kトレイルレース完走は喜びと安心と共に、多くの学びを得たように思えた。

ぼくにとってトレイルランニングは競技でも遊びでもなく、フィロソフィーみたいなもの。人生で学んだすべてが反映される。